城山三郎氏が79才で旅立った。
その著書に「粗にして野だが卑ではないー石田礼助の生涯」がある。
その中で、国鉄総裁就任の挨拶に、始めて国会へ出た石田は、
背をまっすぐに伸ばし、代議士たちを見下ろすようにして「諸君」と話しかけた。
「生来、粗にして野だが卑ではないつもり。丁寧な言葉を使おうと思っても
生まれつき出来ない。無理に使うと、マンキー(モンキー)が裃を
着たようなおかしなことになる。無礼な事があればよろしくお許し願いたい」
石田は最後まで勲一等の親授を断りつづけた。
(マンキーが勲章をぶら下げた姿なんか見られるか、と)
三井物産社長から就任した国鉄総裁の職は社会へのご恩返しだと、
その給料もすべて返上したと記してある。

これを書いた城山氏も終生、勲章・褒章は総て辞退している。